研究課題
若手研究
広くキリスト教圏で絵画化されてきた聖母被昇天主題は、トレント公会議以後、劇的な構図と図像に刷新され、イエズス会総長イグナティウス・デ・ロヨラ監修の『福音書画伝』に図像の手本が示された。イエズス会士たちはヨーロッパ外での布教に際し、この手本を用いたため、各地には手本の写しが残されている。本研究では中国とインドの事例に特に着目し、手本と写しとのあいだの図像の違い、また文章の違いを浮き彫りにすることで、「聖母被昇天図像」がどのようにアジア各地で受容されたのかを明らかにする。またイエズス会内部での『福音書画伝』の役割についても再検討を行う。