研究課題
若手研究
本研究は、近代日本における体質をめぐる医学知識の生成と流通を検証し、近代日本における健康管理に体質概念がどのように寄与したのかを明らかにする。体質概念は、病気の罹りやすさなどを説明する用語として近代日本社会に定着し、個々人の身体的特性にもとづいて将来の病気を予測することに人々の関心を向けさせた。また1920年代半ばから、体質は日本の医学研究の主たる対象になり、病気に対する感受性などの個人差、集団間差が探求された。本研究は、体質概念を媒介とした、将来の病気を予測する医学知の生成と流通を分析することで、「未病」への配慮が全面化した今日の予防医学にいたる、健康と病気をめぐる知識の歴史の解明に資する。