研究課題
若手研究
本研究では、これまで行ってきた仏領期のベトナム語文学研究を土台とし、脱植民地化の過程において、ベトナム南部で生を営んだ二名のベトナム語作家の文学作品と、彼らと同じ時空間を生きた人々へのインタビューをもとに、戦争および難民といった現代世界における共通課題の背景を明らかにする。具体的には、南ベトナム軍の従軍記者も務めた北部出身の作家ズォン・ギェム・マウが1960年代にベトナム南部で書いた中編小説、およびベトナム統一後に国外に逃れた南部出身の作家グエン・スアン・ホアンが1980年代に米国で執筆した長編小説に注目し、文学を用いてどのような「戦争観」と「人生観」を呈示したのかを明らかにする。