江戸時代の外国人による日本語研究資料は、当時の口語・長崎方言の文法、語彙、そしてローマ字表記から推定できる実際の発音を知る上で貴重な資料である。本研究で対象とする、シーボルトが残した日本語研究資料は、日本語・長崎方言について複数人(シーボルト自身と日本人の協力者たち)の多角的な記述が含まれているが、まだ先行研究で十分に検討されているとは言えない。本研究では、これらの資料の①成立経緯、②記述されている日本語の実態、③日本語学史における位置づけを検討する。さらに、一部の資料を翻刻・訳注して他の研究者にとっても扱いやすいものとして公開することで、日本語(史)学や方言(史)学等の分野に貢献する。
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