研究課題
若手研究
江戸幕府成立期にあたる17世紀前半は、時代の変革と戦乱の激動を経験した人々の記憶が一挙に記録化された時代だった。本研究ではこの記録群を覚書史料と総称し、総体的把握と学術資源化を目指す。取り組む課題は次の3つである。①覚書史料の収集と翻刻を進める。とくに有力譜代大名であった石川忠総のネットワークの中で作成された覚書史料に注目し、良質な記述の選別と記主確定の手法を磨く。②叙述形式・内容を比較して類型化する。③従来注目されてきた合戦覚書にとどまらない、より広範な概念として覚書史料の枠組みを設定し、近世史料学の体系への位置づけを図る。以上を通じ、一次史料の空隙を埋めてより豊かな政治・文化史を描き出す。