研究課題
若手研究
本研究は、社会史研究の視点から、法典編纂の枠外を射程に入れ、明治中期の民事責任法規範の形成過程を捉えることにより、法学徒が慣習や集合的意識と切り結びながらどのようにして法規範を生成・変容させたかを明らかにする。交通革命を背景にした事件を中心に、法学徒の法的判断・主張のなかに、法学教育の跡、その受容のされ方をたどり、「過失」が法学徒に観念されるなかに顕在化した衡平感覚・正義感覚を了解し、民事責任法のなかに「法と社会」の相互関係性をみいだすことを通して、法学徒たちの社会史を一歩推し進める。このことを通して、「討論会の法学」が拓く地平を開示し、現代(民)法学の「危機」への示唆を引き出すことを試みる。