本研究では、国際貿易の「異質的企業モデル」に基づき、輸出管理規制という非関税措置に対して、制裁国と被制裁国の企業が直面する選択を理論的に考察し、その選択がGVCパターンや企業に与える影響を明らかにする。2000年代以降のグローバル経済の深化により国際的な協調が期待されたが、米中貿易戦争やロシアのウクライナ侵攻に象徴されるように、国際的な衝突が増加し、貿易制裁が多く使われている。従来は関税引き上げが主要な貿易制裁手段であったが、近年は輸出管理規制といった非関税措置が用いられるようになり、そのGVCへの影響はまだ明らかにされていない。そこで、本研究は「日韓貿易紛争」を事例にその影響を明らかにする。
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