本研究は3つのテーマから構成される。(1)国債の未達という経路で債務危機が顕在化するモデルを構築し、ギリシャ危機へ適用してモデルの妥当性を分析する。モデルは世代重複モデルを前提とし、国債の未達により政府が必要な資金を調達できず、金利の上昇などが生じると想定する。(2)未達によって危機が顕在化した際、政府は債務不履行・財政ファイナンス・緊縮財政といった政策を選択できるが、どの政策、またはその組み合わせが厚生損失を最小化するかを定量的に比較する。(3)国家債務危機に関する過去の事例や、先行研究から得られた定型化された事実を整理し、特に日本の学術界における理解の深化を図る。
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