研究課題
若手研究
本研究は、ルーマンが近現代社会における宗教の様態を分析するにあたり、それを社会における影響力の衰退として捉えるのではなく、社会の機能分化に応じて生じる種々の問題への議論を励起する場として把握しようとしていたことを明らかにする。それにより彼の機能分化論が単にシステムの並列と自律を描いたものではなく、機能システム間に無数の葛藤と相克があることを念頭に置いたものであることが示される。それと同時に、近代化と宗教を単純な対立で捉えることを前提とする従来の学説に対して、両者の間には歴史的に繰り返し立ち現れてきた複雑な相克関係があり、それらを問い直すという課題をルーマンが提起しようとしたことを明らかにする。