韓国では、教育が階層移動の手段とされ、大学入試がその役割を担ってきた。しかし、近年、多様性重視の流れにより入試の評価も多様化し、学校外教育への依存が増す中で、階層・地域による格差が拡大している。政府は入試改革を通じてこの格差是正を図ってきたが、その主要な諸政策は教育政策をもって社会構造の問題である階層格差と地域格差の是正をはかるというスタンスをとっている。本研究は、韓国の事例をあげて入試政策の変遷をたどりながら、それに表れる階層・地域格差の様相とそれを是正するために施された政策の変容を分析し、入試政策による階層・地域格差の是正の可能性を探り、入試政策の新たな視座を提示することを目的とする。
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