固有値および固有ベクトルを求める問題は科学技術における主要な課題の一つである。近年、非線形現象を記述する可積分系が、固有値問題や箱玉系など、数理物理・数値解析を含む多様な分野において重要な役割を果たすことが明らかになりつつある。本研究では、ラックス表示により特徴づけられる可積分系の時間発展と、行列の分解に基づく固有値計算法との関係に着目し、固有値を保存量とする新たな離散可積分系の導出と、その可積分系がもつ解の構造や離散時間極限における漸近挙動を明らかにする。最終的に、固有値問題に関連する離散可積分系理論を確立し、その成果を基に、可積分系に由来する新しい数値計算アルゴリズムの開発を目指す。
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