睡眠は神経系を有するすべての生物に必須な生理現象だが、覚醒中に蓄積することで睡眠を誘導し、睡眠中に解消される睡眠圧(≒眠気)の生物学的実体は不明のままである。近年、シナプス強度が細胞レベルの睡眠圧であることがわかってきた。また、興奮性神経細胞のSIK3シグナル伝達系が脳波レベルの睡眠圧である徐波の生成とノンレム睡眠を誘導するため、SIK3は分子レベルで睡眠圧を制御していると考えられている。しかし、SIK3シグナル伝達系が神経細胞に与える影響は未だ全く不明のままである。そこで、本研究ではSIK3とシナプス強度の関係性を問うことで、個体・脳波レベルから分子レベルに至る睡眠圧の全貌を明らかにする。
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