本研究は、セルゲーイ・ラフマーニノフ(1873-1943)がロシアから亡命し、1918年に活動拠点をアメリカに定めてから手掛けたピアノ作品を主たる研究対象とし、それらの創作過程や成立の変遷を明らかにするものである。 これまでの当該作曲家研究においては出版譜が多く扱われてきたが、自筆譜を対象とした研究は限定的であり、とりわけアメリカ時代のピアノ作品に関わる自筆譜の実態は未整理のままである。 本研究では、米国議会図書館を中心に自筆諸稿の現物調査を行う。さらに、ピアノ演奏実践を通じて諸稿を比較することにより、細かな技法や楽曲構成における変化や一貫性について検証し、創作過程や作品構想を捉え直していく。
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