配分額 *注記 |
15,340千円 (直接経費: 11,800千円、間接経費: 3,540千円)
2016年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2015年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2014年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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研究実績の概要 |
本研究では、機能性低分子RNAとしてゲノム情報発現系内在性制御機序を担うmicroRNA(miRNA)による癌個別化医療の実現を目指して、様々な癌病態において特異的にgain-of-functionあるいは、loss-of-functionをきたす癌病態特異的miRNAを同定すべく、独自のin vitro/in vivo癌病態モデル系等における統合的スクリーニングを行ってきた。発癌から悪性形質獲得に至る連続的な癌病態の変化や発現異常の時空間的変化に着目したオミックス統合解析、さらに、癌病態特異的miRNAと標的遺伝子の分子機序の詳細な解明から核酸医薬としての可能性の検討までを一貫して実施する本研究の成果は、癌miRNA創薬による癌治療体系の確立等に貢献しうると考えられる。 本研究では、初年度(平成26年度)より癌における上皮-間葉転換(EMT)異常との関連性が報告されている上皮系ならびに間葉系マーカー遺伝子として知られるE-カドヘリン(CDH1)ならびにビメンチン(VIM)等のプロモーター配列をgenomic PCR法により単離、それらの配列における転写活性を確認し、平成27年度にかけて単離したプロモーター領域を蛍光レポーター系ベクターへ組み込んだgPADシステムの作成・検証を行ってきた。CDH1/gPADについては、gPADシステムの創薬における有用性を先行研究である独自のcell-based reporter system(CBRS)によるmicroRNA(miRNA)の機能的スクリーニング系によって明らかにし(Harazono, Y, et al, PLOS ONE, 2013), in vitro/in vivo癌病態モデル系への応用を進めつつある。VIM/gPADでの機能的スクリーニング系では、新規癌EMT誘導性miRNAであるmiRNA-544aとその直接的標的分子CDHとAXIN2を同定し、miR-544aがTGF-β経路ならびにWNT経路を活性化してEMTを促進させることを報告した(Yanaka Y, et al, Carcinogenesis, 2015)。最終年度である平成28年度は、既報の癌浸潤・転移関連マーカー遺伝子の中でも細胞外マトリックス分解酵素であるMMP-9による独自のin vitro/in vivo癌病態イメージング・モデル系の確立に着手した。具体的には、マウス大腸癌細胞株colon26を用いたin vitro浸潤/in vivo転移モデル系へ、MMP-9/gPADシステムを遺伝子導入し、MMP-9遺伝子活性を指標とした独自のin vitro/in vivo癌病態イメージング・モデル系を確立した。
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