研究課題
基盤研究(C)
平成27年度は,小麦グルテン酵素分解物(GPH)と大豆タンパク酵素分解物(SPH)を疎水性および等電点に基づいて分画をおこない、各分画物の乳化安定性と抗酸化活性を検討し、それぞれの活性成分の同定をおこなった。画分ごとの疎水性度に基づき、4つの画分にまとめたものと、GPH疎水性画分を等電点に基づいて分画し、画分ごとの酸性・中性・塩基性によって5つのグループに分けたものを用いた。乳化モデルは各ペプチド画分(1%)を含むリン酸緩衝液(pH7.0)とコーン油(5%)を用い乳化した。乳化安定性については、エマルションを室温下で静置し、分離・凝集を観察した。また、エマルションの抗酸化活性は、各エマルションを27℃で振盪撹拌し、7日間保存し、TBA法により過酸化脂質分解物であるマロンジアルデヒド(MDA)を測定し評価した。サンプル中のペプチドの分離・同定のために、各画分をサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)にかけ、分画・分取し、シーケンサによってペプチド配列分析をおこなった。さらに各分画物はAccQで誘導化後、LC-MS/MSを用いてプレカーサスキャン、プロダクトスキャンをおこなった。乳化モデルにおける乳化安定性および抗酸化活性は疎水性画分で高い結果が得られた。特にGPHの疎水性画分(GPH4)において高い抗酸化活性を示し、安定したエマルションを調整でき、1週間程度乳化状態が維持された。このことからいずれのタンパク質分解物も疎水性画分で高い乳化安定性と抗酸化活性を示すことが示唆された。また、疎水性画分を等電点に基づき再分画したGPH4-dが高い抗酸化性を示すことから等電点も乳化安定性と抗酸化活性に寄与する可能性が高いことが示唆された。さらに、シーケンサとLC-MS/MSの分析より、高い乳化安定性と抗酸化性を示したGPH4中のペプチドを同定できた。
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