本研究は茨城県鹿嶋市を事例として、プロサッカーチームの地域的展開とメガスポーツイベントの開催が、当該地域で生活を営む地域住民たちが維持してきた地域的な社会関係の再編過程を探ることを目的としている。 同市T地区の社会関係は、居住と世代をベースにした<互いの家族の顔の見える社会関係>として維持されてきた。他方、スタジアムに集うことをベースにした社会関係は、居住・家族・職業などの社会的属性を不問にしたままの<半匿名性の社会関係>として形成されていた。両者は互いに抵触することはなく、メディアスポーツは歴史的に維持されてきた地域生活から遊離したものであったと結論付けることができる。
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