教養・一般教育の源流、中世の自由学芸の内、文法学(適切な文を算出する能力を育成)や音楽(学)(音の構造を理解、歌等を算出する能力を育成)は、生得的能力の開発と言う点で能力開発に焦点を当てる現代の一般教育と通じる。本研究は中世の音楽(理)論の基盤となる諸概念について9世紀から14世紀に至る変化を追い次の点を明らかにした。①通念に反し実践と理論との往復が常に問題であり思弁的要素はアリストテレス再導入後13世紀に分離。②他の動物と共通の生得的能力として記述され続けていた音楽は13世紀以降、人間の諸能力のどこに位置付けられるかが再検討され、動物と人間の境界線引直し、学問と能力の関係の定式化に寄与。
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