研究課題
基盤研究(C)
近代文学の主人公には「ある領域から別のある領域へ移動する物語的主人公」と「何かについて考える小説的主人公」の二つのタイプがある。しかし、近代日本において生物学的に「発見」された女性は、当時の教育と礼法に則って、余計なことは話さず、余計な動きはせず、感情も表情に表さなかったので、男性知識人にとって「謎」の存在だった。自分の実存感覚を持てない漱石の「主人公」は、自分を愛する女性に唯一の存在証明を求めるが、彼らにとって女は「謎」だったから、彼らは愛を求めて苦悩するしかなかった。これが「漱石的主人公」である。「漱石的主人公」が近代知識人の原型に見えるのは、以上の理由による。
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『文学・語学』
巻: 第218号
波(連載)
巻: 49