本研究では、現代の身元保証の位置づけを、2017年5月に国会で成立した改正民法に関する議論を参照しつつ検討した。 先行研究によれば、身元保証人に対する巨額の責任追及がなされる例はあり、わが国では、今日でも74.8%の企業が身元保証制度を採用している。しかし、通常の保証契約とは異なり、保証意思の慎重な形成と表明の機会が確保されたうえで、身元保証契約の締結が行われているわけではない。身元保証法による身元保証人の責任限度の規律は独特である。裁判所が裁量により身元保証人の責任の有無と責任額を決定する。身元保証法にも改正の必要な点はあるものの、身元保証の特性をふまえれば、民法に一本化することはできない。
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