欧州通貨同盟の危機の遠因は加盟国と非加盟国から成る経済体系に本質的に不安定的要因が内在するのではないかという問題意識の下で、マクロ変数間に共和分関係が存在しないという実証研究を裏付ける理論分析を試みた。構築した開放マクロ経済モデルは財サービス市場と貨幣市場で表される3主体(通貨同盟、他の大国、他の小国)から成り、変動レート制と自由資本移動を仮定した。産出量の格差と為替レートの2本の動学方程式を縮約した二階の非同次線形定差方程式から不安定解が得られることを理論的に証明し、更にUIP条件が先物プレミアムパズルを示す場合に、体系が安定的になる場合があることを証明した。
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