研究課題/領域番号 |
26410004
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物理化学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
永田 敬 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (10164211)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2015年度)
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配分額 *注記 |
5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2016年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2015年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2014年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 一電子還元反応 / 双極子束縛状態 / 分子クラスター / 水素結合ネットワーク / 光電子円二色性 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、気相クラスターを溶質・溶媒系のミクロモデルと見做して溶液反応のダイナミクスを追跡する(probing solution chemistry in the gas phase)という観点から、分子・水素結合ネットワーク・余剰電子が双極子束縛によって会合した新規な気相クラスター錯体M・(H2O)n・{e-}の構造と光反応特性を分光法と量子化学計算を用いて調べ、特に一電子還元反応における過渡的な電子捕獲状態[M-]*の形成や分子負イオンM-の水和安定化の機構など、溶液中では直接に捉えることが困難な還元反応の分子ダイナミクスに関する知見を得た。 1. ニトロメタン、二酸化炭素、ピリジン、アセトアルデヒド等の電子親和力(EA)がEA~0あるいはEA < 0である分子を対象として分子・水素結合ネットワーク・余剰電子の会合体を生成し、光電子分光法を用いて双極子束縛状態M・(H2O)n・{e-}の生成を確認した。赤外分光により、M・(H2O)n・{e-}が還元反応M + (H2O)n- → M-・(H2O)mの反応中間体に相当することを振動分光学的に明らかにした。赤外光誘起で生成するM-・(H2O)mのサイズ分布がM-の水和安定化エネルギーと熱力学的に強く相関し、M・(H2O)n・{e-}が一電子還元溶液反応のミクロモデルとして機能することを示した。 2. 一電子還元試剤であるスーパーオキシド(O2-・)を1~2個の水分子でミクロ溶媒和することによって付加反応性を増大させ、生体細胞内のO2-・転換反応に関与するONOO-やONOOCO2-など、これまで溶液中では単離同定が困難であった反応中間体を生成し、その電子構造と反応特性を明らかにした。 3. クラスター負イオンを対象とする新たな分光手法として光電子円二色性測定に挑戦し、キラル敏感な分光観測が可能であることを実証した。
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