研究課題
基盤研究(C)
エクトヌクレオチド ピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼ(ENPP)3 は、ヌクレオチドの加水分解酵素である。 ENPP3の発現は細胞のがん化と関連が深く、バイオマーカーとしての意義が示唆されている一方で、がん化に関わるメカニズムは未解明のままである。 最近私達は、ENPP3が糖ヌクレオチドの加水分解を介して糖鎖修飾を制御する因子であることを発見した。 本研究ではENPP3の糖鎖修飾制御機能をより詳細に解析するため、ENPP3の発現を抑制したがん細胞の機能とグライコームの変化を解析する。さらに糖転移酵素の強制発現あるいは発現抑制により、改変された糖鎖修飾を元に戻す。これら解析を通じてENPP3がどのような糖鎖構造の付加を制御し、それがどのようにがん化に関わるのかを解明していく。本年度は、ENPP3によるグライコーム改変の全容と、それががん細胞機能に及ぼす影響を統合的に把握することを目的として、1)ENPP3の発現を特異的に抑制(ノックダウン)できる3種類の miRNA発現ベクターを構築した。さらに 2)本酵素を内在性に発現する Walker 256細胞に導入した。その後 3)抗生剤(ブラストサイジン)を用いた薬剤選別により、数種類の薬剤耐性がん細胞を取得した。今後、取得した薬剤耐性株におけるENPP3発現の抑制を、RT-PCR あるいはウェスタンブロッティングにより評価するとともに、ENPP3の発現抑制ががん細胞機能(増殖、浸潤、転)に及ぼす効果を in vitro あるいは in vivo の評価系を用いて検討していきたい。
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