配分額 *注記 |
5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2016年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2015年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2014年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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研究実績の概要 |
[目的]我々は、長鎖不飽和脂肪酸の一つであるアラキドン酸(AA)含量が高い鶏肉は低い鶏肉よりも食味性が優れていること、および長鎖不飽和脂肪酸の代謝経路に存在する3つの酵素(エロンガーゼ5、δ5およびδ6デサチュラーゼ)をコードする遺伝子(ELOVL5, FADS1およびFADS2)の一塩基多型(SNP)と、比内地鶏肉の脂肪酸組成におけるAA含量には有意な関連性があることを報告した。一方、地鶏の卵は「こく」が強いと一般にいわれているが、その要因は明らかになっていない。本研究は、当該3遺伝子のSNPが、静岡県のブランド地鶏「駿河シャモ」の卵黄脂肪酸組成および食味性に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。 [方法]供試材料として、同日ふ化した駿河シャモ雌154羽、およびそれらが産んだ卵154個(1個/羽)を用いた。供試鶏の各遺伝子のSNPは、採卵前に、ミスマッチ増幅変異分析法を用いて判定した。鶏は単飼ケージに一羽ずつ収容し、制限給餌を行い、自由に飲水させた。鶏卵は59-64週齢に集めた。卵黄の脂肪酸組成は、メタノールクロロホルム混合液により卵黄脂質を抽出し、これをメチルエステル化した後、ガスクロマトグラフで分析した。SNPおよびハプロタイプと脂肪酸組成の関連性はThesias (Tregouet & Garelle, 2007)を用いて解析した。 [結果]集団のELOVL5およびFADS1のアリル頻度は、A:0.523(T:0.477)およびG:0.802(A:0.198)であった。FADS2は、単型(G:1.0)であった。FADS1のSNP効果は、GアリルがAアリルよりも有意に高く、FADS1の遺伝子型G./GとA/A間で生ずるAA差は、平均0.128%と推定された。ELOVL5とFADS1から構成されるハプロタイプは4つ(A-G, T-G, A-A, T-A)同定され、A-A型のn6/n3比は、他の3つよりも有意に高かった。以上の結果から、ELOVL5およびFADS1のSNPは、駿河シャモの卵黄脂肪酸組成、特にAAおよびn6/n3比に影響することが示唆された。
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