研究課題
基盤研究(C)
本研究では、膵β細胞からのインスリン放出を低侵襲・高時空間性能で計測する新規の定量イメージング手法を光半導体技術と分子生物学手法の融合で開発することを目的とした。26年度は、インスリンセンサのコア部を成す光化学イメージ素子の構築と計測原理確認、27年度は構築したセンサの時空間性能向上と性能検証を行った。イメージ素子は数万画素(画素ピッチ約3.3ミクロン)の素線から成る光ファイバ束を採用した。素材は合成石英またはプラスチックで比較した。素子の片側端面に、抗インスリン抗体または酵素標識抗体を設置した。抗原抗体反応の確認は、酵素反応依存的に発生する微弱光をファイバで導波させた後、フォトマルチプライヤで検出することで実施した。抗体配置側のイメージ素子端面を含む反応チャンバ内へインスリン含有液を添加した後で、光量をフォトン数として計測したところ、抗原量に依存した増大を確認できたことで、計測原理が確認できた。次に増大したフォトン数の1分間での平均値とインスリン濃度から相関性を解析した結果、フォトマルチプライヤのノイズレベル(50 cpm)に相当する最小検出限界は10(-9)M以下だった。この最少検出限界は、イメージ素子の素材と長さで変化した。光ファイバ長を1000 mmとした場合、最小検出限界(感度)は、合成石英製がプラスチック製より3倍以上良好で、直径0.6ミリ角の計測エリアで、毎秒3フレーム以上、連続1時間以上計測を実施できた。プラスチック製ファイバ長を500 mm以下まで短縮したところ、検出感度を改善できた。また、画素数(5万本)と計測エリア(1ミリ)が向上でき、ファイバ製・多画素・短ファイバ長とすることで、広視野・高感度化への見通しが立った。以上の結果より、細胞外へ放出されたインスリンを検出する光化学イメージ素子の構築、原理確認ならびに計測が実証できた。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件)
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