研究課題
基盤研究(C)
非アルコール性脂肪肝炎は、肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧などの生活習慣病に合併する脂肪肝に、活性酸素や異常なサイトカインによる炎症が発生して起こる進行性の病変で、肝硬変へ移行する病態として注目されているが、本邦でも患者数が増加(約100万人と推定)している。また、非アルコール性脂肪肝炎では肝虚血傷害が正常肝より強くなることが報告されている。現在までに、セボフルラン、レミフェンタニルの虚血前投与は肝虚血保護作用を有することが報告されているが、ポストコンディショニングに関する検討はなく、正常肝と比較して虚血再灌流障害が強くなる非アルコール性脂肪肝炎におけるに関する検討はない。非アルコール性脂肪肝炎に対するセボフルランとレミフェンタニルのポストコンディショニングの開発と相互作用を検討し、有効な肝虚血保護効果方法を確立させること、ならびにこの保護メカニズムについても検討することを目的として研究を行った。正常ラットでは、臨床使用量のセボフルランとレミフェンタニルの虚血後単独投与と併用投与によって肝細胞傷害(肝逸脱酵素の上昇と組織染色での組織傷害の程度であるSuzuki scoreの上昇)の軽減とアポトーシスの抑制が認められた。セボフルランとレミフェンタニルの単独投与と併用投与による保護効果に差は認めなかった。非アルコール性脂肪肝炎ラットでは、セボフルランとレミフェンタニルの虚血後単独投与では有効な保護効果を認めなかったが、併用投与では肝細胞傷害の軽減とアポトーシスの抑制が認められた。セボフルランとレミフェンタニルを虚血後併用投与することによって、非アルコール性脂肪肝炎における肝虚血再灌流障害に対しても有効な保護効果が発揮される可能性が示唆される。
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Journal of Anesthesia, Analgesia and Analgesics
巻: 1 ページ: 1-6