研究課題
基盤研究(C)
申請者らはヒト唾液腺上皮細胞株において、飽和脂肪酸がシェーグレン症候群患者の唾液腺上皮細胞に見られる反応を誘導することを報告した。本研究では飽和脂肪酸がSSの病態を増悪する可能性をin vivoで検討し、脂質異常症治療薬をシェーグレン症候群治療へ応用をするための礎となる研究を目的とした。本年度は、高脂肪食負荷の唾液腺組織に対する影響を検討した。すなわち、5週齢メスマウスに通常食または高脂肪食を4週間食べさせ、唾液腺組織を摘出し、DNAマイクロアレイ法を用いて遺伝子発言レベルを比較した。その結果、ケモカインであるCXCL1やCCL28、また自然免疫系に関与するNOD2の遺伝子発現が、高脂肪食負荷群で有意に増加した。また、これらマウスの脾臓を摘出し、フローサイトメトリー法により免疫担当細胞の分布を評価したが、両群で著しい変化は確認できなかった。以上により、高脂肪食負荷は唾液腺上皮細胞にケモカインやNOD2の発現を誘導し、唾液腺組織の慢性炎症を増悪する可能性を示唆した。
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J Cell Physiol
巻: 230 号: 3 ページ: 732-742
10.1002/jcp.24797