研究課題
基盤研究(C)
感染・炎症においては,小胞体ストレスとその細胞応答(UPR)が惹起され,UPRはさらに炎症を誘導することが知られている.申請者らはこれまでに,ヒト歯周炎罹患歯肉組織においてUPR関連遺伝子発現が上昇していることを報告した.歯周炎の病態形成に小胞体ストレスが関与している可能性があり,本研究においてそのメカニズムを解明する.これまでに得られた研究成果としては,P. gingivalis口腔感染マウスモデルを用いて,小胞体ストレスの関与を明らかにした.本マウスモデルの歯肉組織においては,非感染マウスに比較して,UPR関連遺伝子発現の上昇が認められた.感染に先立ち小胞体ストレス抑制剤(4-PBA)を投与するとその発現は抑制され,本マウスモデルで認められる歯槽骨吸収も抑制された.またこの時,歯肉組織における破骨細胞関連遺伝子発現は抑制されたが,炎症性サイトカイン発現に差は認められなかった.小胞体ストレスの破骨細胞への影響をさらに明らかにするため,in vitroにて検討を加えた.その結果,マウス骨髄細胞由来マクロファージを用いたRANKL誘導性の破骨細胞形成が,4-PBAにより抑制されることが示された.以上の結果より,小胞体ストレスは,破骨細胞形成に直接的に関与し歯槽骨吸収を誘導している可能性が示唆された.P. gingivalis口腔感染マウスモデルを用いて得られたこれらの事象について,P. gingivalisに特有に認められるのか否かは検討する必要がある.本年度からは,P. gingivalis以外の歯周病原細菌により口腔感染マウスモデルを確立するためにその準備・検証を行ってきた.
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J Periodontal Res.
巻: 未定 号: 4 ページ: 1-1
10.1111/jre.12232