研究課題
挑戦的萌芽研究
研究計画に従って1)空気軸受け式高速回転ユニットを製作し、加えて2)常磁性バーネット効果の観測と3)遠心管からの無線信号伝送実験を行った。それぞれの点について、以下のような成果が得られている。1)空気軸受け式高速回転ユニットとして、外径25 mm、長さ70 mmのジルコニア製遠心管と、これを回転させるための砲金製空気軸受けを製作した。製作したユニットは現在、遠心管を最高320 Hzで回転可能である。現段階の回転限界は、ドライブエアにより遠心管が壁に押し付けられ、空気ベアリングが不安定化することに起因している。そこで、所定の回転速度へ到達させるため、ドライブエア流路の検討、遠心管のバランス調整を行っている。2)常磁性バーネット効果の観測においては、磁化の回転下その場測定装置を作製し、磁気転移温度直上の常磁性状態ガドリニウム(Gd)棒を試料とした測定を行った。装置は高感度のフラックスゲート磁気センサとミューメタルシールド、Magic Angle Spinning (MAS)用回転装置からなっている。この装置を用いることで回転に起因する常磁性状態のGdの磁化を初めて観測することに成功した。磁化を生じさせた有効磁場は回転数に比例しており、その比例係数が約30 GHz/Tと電子の磁気回転比に対応する値であることから、観測された磁化は常磁性バーネット効果によるものであると結論できる。この結果は現在論文投稿準備中である。3)遠心管からの無線信号伝送実験としてMAS用遠心管に測定回路を組み込み、回転下でNMR測定を行った。この結果、磁場と回転軸が直交した際に新奇なNMR信号線分裂が生じることを発見した。分裂のメカニズムをSchrodinger方程式の厳密解による解析で示し、実験結果とともにJapanese Journal of Applied Physics誌に報告した。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (7件)
Journal of Physical Society of Japan
巻: 84 号: 4 ページ: 043601-043601
10.7566/jpsj.84.043601
Japanese Journal of Applied Physics
巻: 54 号: 5 ページ: 050302-050302
10.7567/jjap.54.050302
210000145115