研究実績の概要 |
国内において実用化されている活イカの輸送・販売を利用して、生きた状態のケンサキイカを入手しRNA供与源とした。1個体のケンサキイカから以下の4つのRNA画分(細胞体・軸索内細胞質(左右)・周辺グリア細胞・筋肉)を抽出した。軸索内細胞質画分のRNA量が以下の解析に充分でなかったことから、既存の1細胞RNA-Seq法を参考にしてmRNAの増幅を行い、シーケンス解析に十分な量のcDNAを合成することができた。 得られた3つのRNA画分および増幅cDNAから定法によってRNA-Seqライブラリーを作成し、Illumina HiSeqを用いて大量に配列決定した。得られた配列からCLC genomics work bench によってreference transcriptomeを作成し、BWA, GATK, snpEffを用いて、1個体のRNAに由来するにも関わらず多型的になる塩基サイト、およびその中でアミノ酸変異を伴うサイトを推定する方法を確立した。本解析により全53,109,631残基のうち、AtoGとして検出されるイノシン化RNA編集サイト候補150,108残基を推定した。そのうち3,271残基は軸索内画分およびに見られるが他の画分に見られず、軸索外におけるRNA編集サイトであることが示唆された。さらに遺伝子機能に着目して解析した結果、Synapsin, Synaptotagmin16,ADAR, Kv2などシナプスで働く遺伝子において、軸索内画分特異的に、かつアミノ酸置換を伴うRNA編集サイトを見出した。
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