研究課題/領域番号 |
26650041
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
機能生物化学
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
三枝 智香 公益財団法人東京都医学総合研究所, 脳発達・神経再生研究分野, 研究員 (00280800)
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研究分担者 |
前田 信明 公益財団法人東京都医学総合研究所, 脳発達・神経再生研究分野, プロジェクトリーダー (90202308)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2016年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2016年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2015年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2014年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ヘパラン硫酸プロテオグリカン / ショウジョウバエ / 神経筋接合部 / 神経栄養因子 / タンパク質間相互作用 / エンドサイトーシス / 質量分析 / プロテオーム |
研究実績の概要 |
前年度までに同定したヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)結合タンパク質群の中から、神経栄養因子であるSpatzle(Spz)に焦点を絞り、SpzとHSPGとの結合様式の解析およびショウジョウバエ神経筋接合部における機能解析を行った。 GPIアンカー型HSPGであるDally-like (Dlp)もしくは膜貫通型HSPGであるSyndecan(Sdc)発現ベクターをSpz発現ベクターと共にシュナイダー細胞に導入し、免疫沈降実験を行ったところ、SpzはDlpと特異的に共沈し、Sdcとの共沈はほとんど認められなかった。このことからSpzはDlpと特異的に結合することが示唆された。次にSpz変異体、Dlp変異体の3齢幼虫神経筋接合部を解析したところ、シナプティックブトンの過形成という共通の表現型が認められた。さらにシナプス後部筋肉特異的にspzとdlpの二重ノックダウン個体を作製したところ、spzやdlpの単独ノックダウン個体と比較して、神経筋接合部のブトン数が相乗的に増加した。このことから、spzとdlpとの間には遺伝学的相互作用が認められ、両者は共同でシナプス形成を制御することが示唆された。 またdlpをノックダウンすることで、筋肉やシナプス周辺のSpz-GFPが増加したことから、DlpはSpzの代謝を調節していると考えられる。さらに シュナイダー細胞に発現させたSpzと受容体TollのエンドサイトーシスをDlpが顕著に促進することが分かった。 以上のことから、Dlpは神経筋接合部においてSpzと受容体Tollの経路を修飾することでシナプス形成を調節する、という新規メカニズムが示唆された。また、これにより本研究で確立したHSPG結合タンパク質同定のための実験系の有用性を示すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度までに同定したHSPG結合タンパク質候補群の中から、ショウジョウバエ神経栄養因子Spzに焦点を絞り、詳細な解析を行った。生化学的解析や遺伝学的解析により、SpzとGPIアンカー型HSPGであるDlpとが特異的に相互作用し、両者の相互作用が神経筋接合部のシナプス形成に重要であることを明らかにした。 以上、本研究により同定したHSPG結合タンパク質が生理的に重要であることを示す実験結果を得ており、新規のHSPG結合タンパク質の同定および解析は順調に進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
ショウジョウバエ由来培養細胞を用いた実験から、DlpがSpz-Tollの相互作用およびそれに続くエンドサイトーシスを促進すること示す結果を得ている。今後は、「ショウジョウバエ神経筋接合部シナプス形成においてもSpzとTollのエンドサイトーシスをDlpが促進する」という仮説の検証実験を行い、これまでに得られた成果をまとめて学会や論文で発表する。
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次年度使用額の使用計画 |
培養細胞で得られた実験結果から、「ヘパラン硫酸プロテオグリカンが神経栄養因子SpzとToll受容体の相互作用およびそれに続くエンドサイトーシスを促進する」という結果を得ている。さらにショウジョウバエ個体を用いて同様の結果が得られるかどうか、最終確認の実験を行い、その成果をまとめて学会および論文で発表する。
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