研究課題
挑戦的萌芽研究
平成26年度は、IL-27によるマウス骨髄細胞から樹状(DC)前駆細胞への分化増殖誘導の作用機序について検討を行った。(1) IL-27で分化増殖したDC前駆細胞の性質:IL-27+幹細胞因子(SCF)が造血幹細胞(HSC)を高濃度に濃縮している分画Lineage-Sca-1+s-Kit+(LSK)細胞に作用し分化増殖を誘導して生成される細胞を詳細に調べた。その結果、この細胞は、M-CSFレセプター陽性Flt3陰性CD16/32陽性LSK細胞であり、形質細胞様DCへの分化能は消失していたがGM-CSFで分化誘導するmigratory DCや、好中球、マスト細胞への分化能が亢進したミエロイド系前駆細胞であることがわかった。(2) IL-27によるDC前駆細胞への分化増殖誘導の作用機序:リアルタイム定量RT-PCRによる解析により、転写因子としては、これらのミエロイド系細胞への分化に重要なSpilやGfi1、 Cebpaなどの発現が増強され、反対にB細胞や赤血球への分化に重要な転写因子Pax5やGata1の発現は見られなかった。さらにSTAT1欠損マウス由来LSK細胞や、STAT3flox/floxマウス由来骨髄細胞をリコンビナーゼ(Cre)とGFPを共発現するレトロウイルスで感染させソーティングにより精製したGPF陽性LSK細胞を用いてIL-27+SCFによる分化増殖能を比較した結果、STAT1とSTAT3共に、十分なミエロイド系前駆細胞への分化増殖に重要であることが示された。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
Oncoimmunology
巻: 3