「浮き趾」とは,立位時に足趾が地面に接していない状態を指す。 本研究では,女子大学生200人を対象に「浮き趾」の実態とPMSとの関連を明らかにすることを目的とした。「浮き趾」は,足裏測定機器のフットルックを使用した。フットルックは,対象者に足裏スキャナーの上に立ってもらい,15秒ほどで足裏の画像を取り込むことができる機器である。この機器にて,足底圧分布,足長,足幅,接地面積,接地比率を測定した。測定後,「浮き趾」の有無を2群に分類した。また,趾が床に完全に接地している状況を「完全接地」,趾が接地している部分と接地していない部分がある状況を「不完全接地」,完全に床から浮いている状況を「浮き趾」とし,3パターンに分類した。PMSは,日本家族計画協会によるPMSメモリーを使用した。自記式質問紙にて,身長,体重等の属性,初経年齢,月経周期等月経に関する項目,月経随伴症状の有無,フェイススケールにて月経痛の程度等を質問した。その結果,「浮き趾」は60%に認められ,第5趾が最も多かった。「浮き趾」とPMSの関連をみると,不快症状を訴える学生に「浮き趾」の割合が高く,有意差(p<0.01)が認められた。「下腹部」では下腹部痛,腰痛,「血管・神経」では頭痛,「精神症状」では怒りやすい,弱気になる,涙もろい,不安が高まる,性欲減退の症状がみられた者に「浮き趾」の割合が高く,有意差(p<0.05)が認められた。「浮き趾」は不定愁訴に関連があることが報告されているが,PMSにも関連があることがわかった。
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