研究課題
若手研究(A)
本研究では眼科硝子体手術を対象として手術ロボットの開発を行っている.対象とする手術においては,眼球に挿入した術具を用いて眼底のILM膜と呼ばれる2.5μmの膜をはがす手技やマイクロピペットを用いて直径100μm以下の血管に薬液を注入する手技が行われている.このように対象が非常に微細であるため,高精度の眼科手術支援ロボットが必要とされている.また,ロボットのコストや手術室の配置を顧慮し,ロボットが小型であることが望まれている.そこで,本研究では,眼科手術支援ロボットを開発してきた.昨年度まではパラレル型の眼科ロボットを開発し,マスタースレーブによる制御を実装した.本年度は,ロボットの自動化について研究を行った.手術ロボットの自動化は術者のスキルに依存しない高精度の手術タスクを実現する手段として,世界的に話題となっているトピックである.まず,ILM膜剥離においては,名大と共同開発したILM膜モデルを実際の手術と同様に着色し,剥がれた領域と術具先端の位置を顕微鏡画像処理により自動で検出するアルゴリズムを実装した.次に剥がした領域に応じて自動で術具を動かすための制御を実装し,モデルによる実験を行った.膜モデルの特性(さけやすさ)のばらつきの問題があり,自動化による優位性は示すことができなかったものの自動膜剥離が実現可能であることを示すことができた.次に,マイクロピペットの血管への自動位置決め手法を開発した.指定した血管分岐点に対して,顕微鏡のXY平面の位置決めはビジュアルサーボにより行った.奥行方向は,眼底への接触を画像処理によって検出することにより術具先端を位置決めした.被験者3名により実験を行い,100%の確率で36.3μmのXY方向の位置決めを実現した.また,穿刺は80%の成功率で実現することができた.
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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