研究課題/領域番号 |
26707004
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研究種目 |
若手研究(A)
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配分区分 | 一部基金 |
研究分野 |
解析学基礎
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研究機関 | 東北大学 (2017) 東京工業大学 (2014-2016) |
研究代表者 |
桑田 和正 東北大学, 理学研究科, 教授 (30432032)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2017年度)
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配分額 *注記 |
7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
2017年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2016年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2015年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2014年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 熱分布 / 曲率次元条件 / 最適輸送 / Bakry-Emery理論 / Brown運動 / 動径過程 / 確率論 / 幾何学 / 解析学 / 関数方程式論 / 結合法 / Ricci流 |
研究実績の概要 |
F. Baudoin氏,A. Thalmaier氏らと劣Riemann多様体上の幾何解析に関する共同研究に着手し論文を執筆した.退化計量を近似する計量の1パラメータ族を利用するアイデアを用いて,Riemann幾何の諸定理を拡張した.既存の劣Riemann幾何での結果をより広い空間族で拡張したのみならず,既存の結果の議論を大幅に単純化した.その結果を基盤に,劣Riemann多様体上のブラウン運動の結合法に関する共同研究を進めている.無限次元曲率次元条件下でのポアンカレ不等式の等号成立条件,および,曲率次元条件をみたす測度距離空間上の動径過程の解析に関して,前年度に得た成果を整備し詳細を詰め共同研究論文を執筆した.前者は,剛性定理の理解を一段深めるものであり,また測度距離空間上での近年の解析技法の有効性を明らかにした.後者は今後測度距離空間上の確率解析を展開する基礎を与えた.W-エントロピーの剛性定理では前年度からの共同研究を継続し論文執筆の最終段階に入った.特異空間上で問題を扱うことで,剛性定理の新しい側面を明らかにした.これらの諸結果は,曲率次元条件に基づく特異空間上の幾何解析および確率解析の新展開を示唆するものと言える. また5月のBaudoin氏招聘に合わせて研究集会”one day workshop on stochastic differential geometry”を開催し,関連分野の研究者との研究打ち合わせを行った.特にBaudoin氏とは,前述の共同研究に関する詳しい研究打ち合わせを行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
測度距離空間上での鏡映カップリングの構築について,その着想の根底にあった関数不等式を用いる方法のみでは限界があり,最適輸送を組み合わせた新しい理論が必要であろうことが明らかになった.そのため,研究の推進には新たなアイデアを更に投入する必要が生じている. 今年度の成果の多くは,前年度の成果を整備し論文を執筆した,という形となっている.その中にあって,劣Riemann多様体上の幾何解析および確率解析については大きな進展があったと言える.ただし当初の計画を完全に達成するまでの結果には至っていない.特に測度と距離関数を用いた曲率次元条の定式化の劣Riemann幾何の枠組みへの拡張および鏡映カップリングの構築については,なお新しい着想を要する. 非対称性生成作用素,空間非一様曲率次元条件,時間依存計量下の幾何解析については,当初の計画の重要な部分を他の研究者に先行されている.それらの結果の拡張には,より新しいアイデアを必要としている状況にある.
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今後の研究の推進方策 |
測度距離空間上の結合法については,Riemann多様体上での既存の方法の再解釈を含め,今一度多角的な視点からのアプローチを再検討する. また現在ボン大学に滞在中であることを利用して,本研究課題全般についてK.-Th. Sturm氏およびその研究グループの構成員との連絡,研究打ち合わせを密に取る. 劣Riemann多様体上の幾何解析および確率解析については,Baudoin氏およびThalmaier氏と連携を取りながら研究を進める.
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次年度使用額の使用計画 |
30年度が最終年度であるため、記入しない。
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