本研究は、脳血管障害患者に対する前頭前野を賦活する課題が安静時の脳内神経活動とその機能的連関(Default mode network: DMN)に影響をおよぼすかを検討した。安静閉眼、暗算課題、安静閉眼の順で、それぞれ2分間の脳波計測を実施した。若年健常成人では安静時の内側前頭前野と楔前部の神経活動に機能的連関を認めたが、脳血管疾患患者では領域間の機能的連関は認められなかった。前頭前野賦活課題後にも領域間の機能的連関は認められなかった。この結果から、脳血管疾患患者はDMNの変調を生じている可能性があり、単回の認知課題では、DMNの直接的変化を生じる即時効果は認められなかった。
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