運動学習過程は,運動計画と運動実行の2つの学習過程に依存する.両者の関係を調べるためには,運動実行だけでなく,運動計画の学習プロセスを賦活させる必要がある.運動計画の目標指向性を考慮し,終点で大きなターゲットエラー(失敗)が生じる力場を新たに開発し,ターゲットエラー存在下のリーチング運動軌道の変化を調べた.実験の結果,失敗が生じた後は,ターゲットエラーを減らすように運動軌道が素早く変化した.さらに,その力場の脱学習後には,学習前のベースライン(直線)軌道とは異なる軌道に収束した.この結果は,運動実行の学習過程の階層的上位にkinematicな運動計画の学習過程が存在することを示唆する.
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