Talmy (1985, 2000) は,移動を表す述語表現において動詞に様態が含まれるか,経路が含まれるかという類型論的一般化を提案した。この見解に従えば付随要素枠付け言語では様態が本動詞に含まれ,経路が接辞,不変化詞,付加部などの衛星として表現され,動詞枠付け言語では経路が本動詞に含まれ,様態が従属付加部として表現される。本研究では,述語が文を構成する基礎であり,1つの文につき述語が1つであるという Beavers et al. (2010) の想定に基づき,前者では付随要素に,後者では動詞にスケールが含まれていると仮定することで,この一般化に対する原理的な説明が可能かどうかを考察した。
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