選挙を描いた既存の数理モデルでは、公約は必ず実行される、あるいは公約には意味がなく、政治家には無視されると仮定されてきた。一方で、本研究では、公約を破る費用を導入し、公約と政策の戦略的決定を明確に分けたモデルを提示した。また、このようなモデルを用いて、既存の研究では示すことが困難であった、現実の選挙における以下の事象を理論的に説明した。第1に、異なった特性をもった政党間の選挙では、一方の政党が高い勝利確率を得る選挙結果となること。第2に、選挙において極端な政策を好む政党が選挙に勝利することがあること。また、選挙において政党が曖昧な公約を提示する理由を理論的に示すことが困難であることも示した。
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