抑うつ傾向の高い者(抑うつ者)と低い者(非抑うつ者)の注意の特徴を明らかにする実験の結果から,外界の刺激への注意は即時的には気分に影響しないことが明らかになった。ただし,抑うつ者は悲しみを喚起させる情報のみに注意を持続させやすく,一方で非抑うつ者には情報ごとの差はみられなかった。さらに,抑うつ者においては,ネガティブな出来事の記憶と悲しみ情報への注意に関連がみられた。よって、ネガティブ情報に対し偏った注意や、その他の情報への注意持続困難は、記憶の偏りを介して抑うつ気分の持続に影響を与えている可能性が示された。
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