本研究では英独仏の学校を取り巻く社会の多民族化・多文化化の進展度と、それぞれの児童が暮らす生活の文脈、さらに保護者の生活の在り方などを考慮に入れ、保護者をも巻き込みながら、児童の立場に立ち社会への包摂を目指して進められる市民性教育の在り方が明らかになった。これらの国々の市民性教育では、読み物資料を用いることもあるが、読み物資料から得られる知識だけでなく、ロールプレイ等を通した具体的行動の練習や具体的場面の経験、さらに他者との協力の大切さを感じさせるためのグループワークなど、多種多様な形態で行われている。こうした市民性教育は、日本における道徳教育の今後の可能性を示唆するものとも考えられる。
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