研究課題
若手研究(B)
以前より、高血圧モデル動物において、高血圧発症早期の6週齢から14週齡に一過性の高食塩投与を行うと、正常食に戻しても高血圧が持続する「ソルトメモリー」現象を確認している。その機序として、高食塩投与による腎細動脈血管傷害が 「ソルトメモリー」形成に寄与する可能性を示した。また一過性に高食塩を投与し、「ソルトメモリー」を確認したDSラット(Dahl食塩感受性ラット)を同週齡の無処置のラットに移植したところ、血圧上昇、反対に無処置のラットを同週齡の「ソルトメモリー」を確認したラットに移植したところ、移植後に血圧低下を認めた。今回、腎移植による、除神経に伴う血圧への影響、さらに移植に伴う血圧の変化の影響を明らかにするため、これまでの移植実験と同様に、一過性に高食塩食を投与し、同程度の血圧で「ソルトメモリー」を確認したDSラットを各々、ドナー、レシピエントとして腎移植を行い、さらに無処置のDSラット同士でも腎移植をおこない、移植後tail-cuff法で、血圧測定を行った。腎移植後明らかな血圧の変化は認めなかった。以上より、腎移植による除神経、腎移植そのものでは、血圧変化は明らかでなく、「ソルトメモリー」の主座は腎臓にあることが示された。また、一過性高食塩投与後、約3ヶ月間正常食に戻したDSラットの腎臓の検体を使用し、尿細管間質障害、ENaCの活性化の有無を検討したところ、明らかな尿細管間質障害、ENaCの持続的な活性化は認められなかった。さらに、高血圧発症早期における減塩食投与の影響を確認するため、6週齢から14週齢まで、正常食、減塩食を投与後、14週齢以降は高食塩食を持続的に負荷する群を作成し、各群における血圧の変動をtail-cuff法にて観察した。減塩食投与群は、正常食投与群に比較して、有意な血圧変化は認められず、減塩食によるメモリー効果は明らかとならなかった。
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Hypertension
巻: 64(4) 号: 4 ページ: 784-791
10.1161/hypertensionaha.113.02973