研究課題/領域番号 |
26861106
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
心臓血管外科学
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
佐藤 千香子 山形大学, 理工学研究科, その他 (50534111)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2015-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2014年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2015年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2014年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 人工血管 / 抗血栓性 / 接着選択性 / PMEA / PTHFA |
研究実績の概要 |
本研究は機能的な小口径人工血管の開発を目的とし、抗血栓性を有するPMEA(ポリ(2-メトキシエチルアクリレート))とPTHFA(ポリ(テトラヒドロフルフリルアクリレート))表面上における血管内皮細胞および血管平滑筋細胞の接着挙動の検討を行った。 はじめに、PMEAおよびPTHFAコーティング基板をヒト多血小板血漿に接触させて血小板の接着数と接着形態を検討したところ、血小板はPMEAとPTHFA上にはほとんど粘着せず、また粘着した場合、活性化の低い血小板に特徴的な形態を示すことが確認された。 次に血管内皮細胞と血管平滑筋細胞の接着性を検討した。その結果、いずれの細胞においてもPMEAおよびPTHFA上では、陽性対照と比較して同等の初期接着数を示し、さらに培養を進めると、より多くの細胞増殖が確認された。また培養時間に従って明瞭な接着斑とアクチン繊維を示し、細胞が大きく伸展している様子が観察できた。 このような細胞接着に選択性がみられた原因を探求するため、基板-細胞間を仲介する役割を持つタンパク質に注目し、PMEAおよびPTHFAに接着した際のコンフォメーション変化に伴う細胞接着部位の露出度合いを検討した。すると、PMEAとPTHFA表面上のフィブリノーゲンは血小板の接着部位の露出量が少ない一方、フィブロネクチン上の血管内皮細胞や血管平滑筋細胞の接着部位の露出量は多いという結果が得られ、細胞接着実験の結果との整合性が確認できた。 以上より、PMEAおよびPTHFAは表面上に接着したタンパク質のコンフォメーション変化が影響し、血小板は粘着しないが血管内皮細胞や血管平滑筋細胞は接着するという選択性を示すことが示唆された。本研究の結果から、PMEAおよびPTHFAを使用することで、合成高分子のみを用いて抗血栓性と内皮化を併せ持つ機能的な小口径人工血管開発の実現が期待できる。
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