研究課題
若手研究(B)
着床後の脱落膜分化不全により不妊の表現型を呈する DEDD (Death-effector domain-containing) 欠損マウス (DEDD KO) をモデルとし、着床後の子宮内血管機能に着目して、分子レベルで総合的な不妊症病態メカニズムの解明をめざした。本研究ではマウス血管内皮細胞樹立系である bEnd.3 も用いており、これに DEDD 遺伝子を強制発現させると単層培養系におけるデキストラン透過率、すなわち血管透過性が亢進することを見出した。また RNA-seq により、血管内皮機能に重要な iNos を標的とした NF-kappaB シグナル系が働いている可能性を発見した。さらに、DEDD を VE-cadherin プロモーター下で血管内皮特異的に発現させたトランスジェニックマウスでは、DEDD KO バックグラウンドにおいてそのメス不妊症の表現型が改善された。このマウスの遺伝子型は DEDD tg; DEDD KO で血管内皮にのみ DEDD を発現し、脱落膜において DEDD 発現を欠くものであり、実際に in situ hybridization 法で mRNA レベルの発現が血管内皮特異的に観察された。残念ながら予定年度の途中ではあるが、本研究は日本においては中断し、今後少なくとも2年間はドイツに拠点を移して同一の研究を継続する予定である。最終的には本研究を、DEDD を中心とした分子レベルでの女性不妊症の診断・治療標的発見へとつなげたい。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件)
Cell Reports
巻: 9 号: 1 ページ: 61-74
10.1016/j.celrep.2014.08.058
PLOS ONE
巻: 9 号: 10 ページ: e109123-e109123
10.1371/journal.pone.0109123