脂肪幹細胞(ASCs)は脂肪組織から精製される成体幹細胞で、再生医療において骨髄間葉系幹細胞に代わる幹細胞として注目されている。本研究では、脂肪幹細胞に対する低酸素の影響を検討した。脂肪組織をコラゲナーゼ処理することにより、脂肪幹細胞を得た。ASCsの細胞増殖は低酸素培養にて有意に促進した。低酸素下5~15分で、MAPキナーゼの中でも、ERK1/2のリン酸化が亢進した。HIF-1αの発現も認められた。低酸素培養下にてERK阻害剤、Akt阻害剤を添加したところ、増殖活性は抑制された。低酸素培養はASCsの増殖に影響を与え、その調節機構にはERK1/2、Akt経路とHIF-1αの関与が示唆された。
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