研究課題
若手研究(B)
地中深くの断層の破砕度の直接モニターや,観測から推定した破砕域の正確性の検証は難しい.本研究では,実験室での透過弾性波を用いたモニタリング手法と,数値計算による波動伝播シミュレーションという二方向からの破砕域イメージングについて,手法の高精度化を試みた.研究期間中は,三軸圧縮試験の実験手法の改良と試験の実施,数値計算を実施した.実験のために,直径50mm高さ100mmの円柱形の花崗岩試料を準備し,小型ケースで保護した広帯域圧電素子を貼付し,熱収縮シリコンチューブをかけた上から液状シリコンによって保護した.この試料で三軸圧縮の準備試験をしたところ,シリコン中の気泡が封圧上昇によりつぶれ,破れた部分から試料内に油が浸入する問題が発生した.気泡混入は,センサ貼付部に近い複雑な表面形状の位置で確認されたため,複数の硬さのシリコンを多層的に塗布して凹凸形状を埋め,耐圧性を確認した.そこで改めて,岩石試料の周囲に送振用の圧電素子と受振用の6個の広帯域圧電素子を貼付し,改良した手法でシリコン保護をした.室温,乾燥状態,封圧50MPaで試料の載荷をおこなうと同時に,送振子から試料内に弾性波を繰り返し透過させた.回収した試料をCTスキャンで調べたところ,内部に一つの大きな亀裂面が見られた.得られた時系列波形には,載荷にともない消失する波群や,逆に振幅が顕著になる波群などが見られた.これらの波形変化は,試料内に生成された破壊域の時空間的成長を反映したものと考えられる.この実験条件に合わせて,すでに作成済みであった岩石実験を模擬した3次元差分法を用いた計算コードを改良した.送信点,観測点を自由に配置できるように拡張性を高め,今後の実験波形との比較に備えた.
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