研究課題
若手研究(B)
本研究は、ファセット形態を有する多層窒化ホウ素ナノチューブ(MWBNNT)を強化材としたナノ複合材料について、その高比強度の理論的検証と最適設計に向けた理論体系化を行うことを目的としている。そのためには、原子レベルからの詳細かつ高精度な検討が不可欠であり、その方法として分子動力学計算が最適である。本年度は、昨年度に構築したBN層状材料の高精度ポテンシャル関数を超並列計算が可能な汎用分子動力学シミュレータLAMMPSに組み込み、MWBNNTのファセット化条件の解明を行った。具体的には、分子動力学計算によるMWBNNTの安定構造解析を、チューブ直径と層数を変えて繰り返し、従来の場合とファセット化した場合のエネルギー比較から、安定的にファセット化する条件を検討した。その結果、以下のことが明らかとなった。(1)単層BNNT(SWBNNT)は円筒形を最安定構造とし、ファセット化しない。(2)多層構造であることがファセット化の必要条件であるが十分条件ではない。(3)MWBNNTは、角が形成されることによるエネルギーの損よりも、平坦部(すなわち六方晶BN、h-BN)が形成されることによるエネルギーの利得が大きい場合にファセット化する。(4)平坦部の形成は、層間に生じるファンデルワールス力と静電相互作用に起因する。(5)MWBNNTの層数が多いほど&直径が大きいほどBNNTはファセット化しやすい。その理由は、角部よりもエネルギー的に安定な平坦部が全体に占める割合が、層数が増えるほど&直径が大きくなるほど高くなるためである。
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