近年,人文社会科学の様々な領域でデータ分析が盛んになっている.しかし,法学においては,この流れはあまり強くない.近年比較社会学等で提案されている,質的比較分析(Qualitative Comparative Analysis, QCA)は,こうした状況を変える可能性を持つ.QCA は,ある結果を生じさせるのに必要・十分なファクターを,集合論などを用いて探るものである.本研究では,QCAというデータ分析の新しい手法を,法学における判例研究に応用するものである.具体的には,米国の弁護人依頼権に関する裁判例の分析を例にして,QCAが法学,特に判例研究において有効であるということを示した.
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