欧州連合(EU)において「援助協調」枠組みが形成される要因を、開発協力政策とその関連政策との間の「一貫性」の確保を事例として明らかにする。一貫性が向上したとみなすことのできる例として、途上国に対する複数の援助予算の成立を挙げることができるが、それらの成立には欧州委員会と加盟国との間で予算執行権限の配分に関する合意が成立していることが必要になる。そのような合意を促す要因として、プリンシパル・エージェント理論の観点から、予算執行権限を欧州委員会に委譲することで加盟国の「取引コスト」が低下するかどうか、また加盟国の欧州委員会に対する「統制」が確保されるかどうかが重要になる。
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