研究実績の概要 |
統合失調症における認知機能障害は、患者の社会機能や社会的転帰と強く関連することから、治療ターゲットとしての位置づけは高い(Green et al, 2000)。欧米で1990年代より開発された認知機能のリハビリテーションは、患者の予後や社会機能にも有意な改善効果がもたらされることが明らかにされてきた(McGurk et al, 2007)。 一方、近年、神経認知と社会機能や社会的転帰の介在因子として、内発的動機付けが注目されている。認知リハビリテーションの社会機能や社会的転帰に対する効果検証を行うには、それらの介在因子である内発的動機付けの評価が重要である(Choi et al, 2010)。内発的動機づけの評価法を確立することは、リハビリテーションの効果の予測ばかりでなく、リハビリテーションに用いられるゲームソフトウェアの評価や選定にも有用な可能性があるため、その評価方法の開発を行った。IMI(Intrinsic Motivation Inventory)(Choi et al, 2010)の日本語版について、尺度の信頼性・妥当性検討行うため、3カ月間の認知リハビリテーション中、半分のセッションを過ぎた時点で、臨床指標や関連尺度と共に検査を実施した。内発的動機づけの高さと一部の社会機能に関連があることが示された。今後、どのような介入が内発的動機づけを高めることにつながるのか、さらなる検討が望まれる。
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