研究成果は次の通りである。(1)近代日本の安全保障政策構想と日米安保体制の分析を通じ、憲法制定議会において憲法9条の非武装平和主義が国連の集団安全保障と不可分のものとして構想されていたことが明らかになった。(2)戦前戦後改憲論の検討を通じ、国体論が、敗戦、ポツダム宣言受諾、日本国憲法制定を帝国憲法の法理との連続性で説明する論理となっていたことがわかった。(3)戦後原子力開発の研究を通じ、岸内閣の自主防衛力整備計画は、安保破棄という非常事態が生じた場合に対処するため核能力を保有しておくことを目的として構想されていたことが示された。以上を通じ戦後史における主権と人権の創発と定着の形を明らかにした。
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